平和通りにお店を構えて50年 宇部市「珈琲店 じゃがいも」
- グルメ
今回紹介するのは、筆者が15年以上通い続けている宇部市のお店です。
宇部市民ならもちろん、市外からも通う方が多い人気のお店。
知らない人はぜひ一度行ってみてほしいその魅力を紹介したいと思います。
【写真はこちら】半世紀にわたり愛されてきた「じゃがいも」の店内やメニュー
地元民にも愛され50年
宇部新川駅から市役所方面へ続く平和通りを進んでいくと、ほどなく見えてくるのが今回ご紹介する「珈琲店 じゃがいも」(山口県宇部市中央町1丁目4-11)です。
「じゃがいも」と大きな文字が左手に見えてきますのですぐにお店を見つけられるはず。店構えはまるで本の物語に出てくるような雰囲気です。
駐車場は正面から見て右手奥にあり、「専用駐車場」の看板が目印です。
28番から34番までの7台分が「じゃがいも」の駐車場ですが、今後変更の可能性があるとの事ですので、わからない場合はお店に尋ねてくださいね。
お店に入るとそこは歴史を感じさせる空間。使い込まれたテーブルや椅子などが並んでいます。
それもそのはず。こちらの「じゃがいも」は今年オープンから51年目を迎える老舗店なんです。
オムライスにピラフにカレー
それでは、昔から市民に愛されてきたメニューをご紹介します。
定番メニューはオムライス。ランチタイム(11:00〜14:30)はスープとサラダがついてきます。
- オムライス(スープ、サラダ付き) 1,300円
ふわふわな卵の上にとろりとかけられたソースは濃厚。中のライスの風味はしっかりありつつも、しつこくありません。
ソース、卵、ライス、この3つが口の中で合わさった時のバランスが絶妙なのです!
筆者が15年以上通う事になったきっかけは、まさにこのオムライス。
オムライスが好きすぎて、他のメニューを食べたことがない!というお客さんにも会ったことがあるくらい。
そして、筆者がここ数年どハマりしているのが、こちらのアメリカンピラフ!
- アメリカンピラフ(スープ、サラダ付き) 1,400円
ピラフの上にハンバーグが乗っていてボリュームも十分な一品。
ハンバーグにはハーブが混ざっており、爽やかな風味でさっぱり食べられます。そこに酸味のあるソースがとってもよく合います。
肉汁たっぷりで重厚感あるハンバーグにデミグラスソースが王道だと思っていた筆者に衝撃が走り、こんなハンバーグは他にない!と、以来アメリカンピラフをこよなく愛しています。
寒い季節に食べたくなる、ドリアたちも人気です。今回は2種類あるうちの、カレードリアを注文しました。
- カレードリア(スープ、サラダ付き) 1,300円
「じゃがいも」はカレーも美味しく、皆が食べた事のあるような昔ながらの懐かしいカレーに、ちょっとオリジナルを加えた味わい深いもの。
そこにたっぷりチーズを乗せて、パカッと黄身を乗せてオーブンで焼けば、カレードリアの出来上がり!
「じゃがいものチーズドリア」も人気だそうです。
「じゃがいも」のメニューはどれもお馴染みのもの。そこに「じゃがいも」らしさが上手に加えられ、他では食べられない味で、開業から50年経った今も通う人が沢山居ます。
今の「じゃがいも」が出来るまで
50年前、開業者である加藤貴美江さんは、結婚を機に広島県から宇部市へ移住しました。
しかし夢見ていた結婚生活とのギャップが生まれ、離婚することに。
宇部の地で母1人、子1人となった貴美江さんは、
「お気に入りの場所に喫茶店を開きたい。喫茶店なら子育てしながら出来る。」という思いから、宇部の街を歩き回りました。
随分と歩き回った末、プラタナスの木から花が落ちるのを見て「ここが良い!」と今の場所に決めたそうです。
開業して徐々にお客さんが増えた頃、その中でも毎日のように通い続けたのが、現在の旦那さんである、光則さん。
ある日どうしてそんなに通い続けるのかを光則さん聞くと、なんと「貴美江さんが好きだったから」だとか!
「15種類のケーキを作れるようになったら、結婚してあげる」となかなかハードルの高い条件を出した貴美江さんに対し、光則さんはそれを3.4年かけてクリア。
晴れて2人は結ばれました。
そんな光則さんが手掛ける、ケーキのレパートリーの一つがこちら。
- フランボワーズのケーキ 400円
層になるようスポンジを9枚に薄く切り、間にクリームを塗り、甘酸っぱいソースを塗ればケーキの完成。
こんなに層になっている手作りケーキは、なかなかお目にかかれない!
光則さんはケーキだけではなく、今は「じゃがいも」のお食事メニューも担当しており、まさに貴美江さんのなくてはならないパートナーです。
多才な店主の作る、他にはないお店
「じゃがいも」は開業してから50年もの間、さまざまな方に愛され続けています。
開店当時は学生さんや、貴美江さんに人生相談に来る社会人の方々が多かったといいます。
こちらは若かりし頃の貴美江さん。
「じゃがいも」を切り盛りしつつ、プロのデザイナーでもあり、沢山の服を世に生み出してきた貴美江さん。
広島時代は生後7ヶ月で被爆、学生時代は陸上競技やダンスで頭角を表すも、被爆の後遺症もあり、その後は指先の器用さを生かし、今の姿があります。
人生経験が豊富な貴美江さんとお話しするのが楽しみで通い続ける方も多いのは、納得です。
店内の椅子の上に乗っている座布団は、貴美江さんの趣味で作られたそうです。
小物や壁に掛けられた絵、どこを切り取ってもおしゃれな空間は、50年経っているとは思えないほど。
コーヒー1杯飲みにいくだけでも、癒されます。
これからの「じゃがいも」の変化に期待
今は娘の藍さんが加わり、3人で「じゃがいも」を営業しているそうです。
「今後山口大学の学生さんたちが、『平和通りにテイクアウトの食べ物を食べれるように』と、歩道に席を作ってくれるようです。市と協力して、この通りを盛り上げてくれるのは、楽しみ。」
人通りが増えることで、益々ファンが増えそうです。
50年経って、街の景色が変わっていくのを楽しみつつ、色褪せない「じゃがいも」に、ぜひ足を運んでみてくださいね。