風土と自然が生み出すお酒 防府市「みづは DOBUROKU CAFE」
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「どぶろく」ってご存知ですか?
米、米麹、水を原料に作られている日本の伝統的なお酒です。
酵母酸やアミノ酸など、多くの栄養素が含まれ、健康や美容効果も高いどぶろく。
そのお酒を提供している防府市の「みづは DOBUROKU CAFE」をご紹介します!
Uターンでどぶろく造り
「みづは DOBUROKU CAFE」は、防府天満宮の大鳥居のすぐ横にあります。
客席のスペースは8畳ほどで、落ち着いた空間となっています。
民家だった場所をリノベーションして、2021年5月にオープンしました。
こちらでいただけるのが、「どぶろく瀧水(たきみず)」です。
- どぶろく瀧水 ストレート 500円
どぶろくは、日本酒のルーツとも言えるお酒。
昔は各家庭で自家製のどぶろくが造られていましたが、明治以降、酒税法により製造が禁止されてしまいました。
現在では、国から「どぶろく特区」に認定され、酒類製造免許を取得すれば造ることができます。
防府市は、2019年にどぶろく特区に認定されています。
認定への動きをつくったのが、お話を伺った店主・右田ともみさんの夫・圭司さんです。
日本伝統濁酒研究所 代表取締役 右田圭司さん
圭司さんは、なんと、日本酒のソムリエ「唎酒師(ききさけし)」の創設者だそうです。
5年前、防府市にUターンし、故郷の風土を生かしたどぶろくを造ろうと特区認定に向けて奔走。
途中、諦めかけたこともあったそうですが、約2年の歳月をかけて認定を得ることができました。
日本伝統濁酒(だくしゅ)研究所という会社を立ち上げ、酒米づくりからどぶろくの製造・販売までを行っています。
風土と自然が生み出すお酒
どぶろく造りで重要なものの一つが、水です。
天満宮からほど近い国指定の史跡「宮市本陣兄部(こうべ)家」の井戸水を使用しています。
実は、こちらの井戸水は、江戸時代、長州藩主毛利家への献上酒「瀧水」に使用されていた仕込み水。
その縁から、どぶろくの名前も「瀧水」と名付けられました。
私も井戸水をいただきましたが、とても口あたりが柔らかくてびっくり!
日頃、飲料水にこだわりがない私でも、その美味しさに感動しました。
井戸から水を汲み上げ、運ぶ作業は大変だそうですが、その苦労にも勝る美味しさがあるんですね。
子孫の方が井戸水を代々受け継いでこられ、再び、お酒の仕込み水として使用されているご縁も素敵だなと感じました。
その歴史ある仕込み水と地元で栽培した酒米を使用して造られた「瀧水」。
季節によって味も変化するそうで、夏場の気温が高い時期は酸味が強くなり、冬場は甘みが強くなるといいます。
アルコール度数も8~10パーセントと、狙って造ることはできないとのこと。
まさに、その土地の風土や自然が育むお酒なのです。
お家で飲める どぶろく も
瀧水は、お店だけでなく、自宅でも楽しむことができます。
- どぶろく瀧水(300ml) 1,380円
火入れをせずに、酵母や乳酸菌が生きたままの状態で急速冷凍した商品を みづは やオンラインで購入することができるんです。
冷凍で保管し、常温で解凍すると、眠っていた菌が働き始めるとのこと。
栄養分もそのまま取り入れることができます。
私も自宅で飲んでみましたが、さっぱりとした強めの酸味の後に、お米の甘みと旨みがやってきて美味しい!
どぶろくは原料そのままに濾過をしていないため、トロッとした口あたりですが、キレのあるアルコールもしっかり感じました。
初めてどぶろくをいただきましたが、思っていたよりも飲みやすく、自然な甘みと酸味がクセになります。
炭酸水やビール、果汁100%のジュースなどで割っても良いですし、シャーベット状でいただいても美味しかったですよ。
店主のともみさんは、毎晩、おちょこ1杯程度を飲んでいるそうですが、肌の不調もなくなり、よく眠れるようになったそう。
甘酒は「飲む点滴」とも言われていますが、さらに酵母を加えて発酵させたどぶろくは、栄養素も豊富とのこと。
便秘が改善したとか、疲れが取れやすくなったなどの健康効果を感じているリピーターもいらっしゃるそうです。
ちなみに、私もおちょこ1杯分を1週間ほど飲んでいますが、 心なしか腸活にも繋がり、お肌の調子も良いような・・・。(←単純です 笑)
スプーンやおちょこ1杯分だけでも、飲み続けることで効果を感じやすいようです。
どぶろく以外のメニューも充実
みづはでは、ノンアルコールの麹のあま酒もオススメです。
- あま酒ストレート 500円
お米の自然な甘みと旨みをしっかりと感じつつ、すっきりとした酸味で飲みやすい!
どぶろくと同じく濾していないので、トロっとした口当たりで、飲みごたえもかなりありました。
気温の高い日に冷たい甘酒をいただくと、なんだか元気が湧いてくるような気が・・・。(←やっぱり、単純ですね 笑)
こちらも、火入れをしていないので、あま酒の栄養をそのままいただくことができます。
ノンアルコールなので、車を運転する方も安心して飲めるのが嬉しいところです。
この他にも、カフェメニューも充実しています。
こちらは、人気の酒粕のバスク風チーズケーキとネルドリップコーヒーです。
- 酒粕のバスク風チーズケーキ 470円
ケーキの酒粕は知り合いの酒蔵から取り寄せているとのこと。
小麦粉は使っておらず、中身がトロっとしたチーズケーキは、チーズと酒粕を半々に使用しています。
濃厚な酒粕の風味とチーズの相性は抜群!
写真提供 みづは DOBUROKU CAFE
高温で焼き上げているため、アルコール分は飛んでいると思われますが、大人のチーズケーキでしたよ。
ラムレーズンも良いアクセントになって美味しかったです。
そして、DOBUROKU CAFEでありながら、ネルドリップコーヒーもおすすめ!
なんと、ともみさん自らが目の前で淹れてくれるんです!!
注文を受けると、まず、お客さん自身にコーヒーミルで豆を挽いてもらいます。
豆は、広島のコーヒー専門の老舗喫茶店・蛇舞珈(じゃまいか)亭さんのオリジナルブレンドを使用しています。
ともみさんが、蛇舞珈亭さんのコーヒーに魅了され、ネルドリップ方式でやり方を習得。
今年からメニューに取り入れました。
ネルドリップ方式でコーヒーを淹れる店主・右田ともみさん
ネルドリップコーヒーは、「フランネル」という布をフィルターにして抽出します。
ドリップコーヒーと言えば、最初に少量のお湯を入れて蒸らし、数回に分けて注ぐイメージでしたが、ともみさんの淹れるコーヒーは、豆をすり鉢状にしてからお湯を一度にゆっくり注いでいきます。
(もちろん、このお湯も、兄部家の井戸水を使用していますよ。)
すると、コーヒー豆がぶくぶくと泡立つように膨んでいきます。
これは、新鮮なコーヒー豆を使用している証拠。
コーヒーの良い香りに包まれながら、その美しさとおもしろさにも見とれました。
最後に、ともみさんが味見をし、納得のいく仕上がりとなっていたらお客さんに提供します。
お客さんに、コーヒーの香りや淹れる過程も楽しんでもらいたいという、ともみさんの想いが込められた特別な一杯。
- スペシャリティコーヒー ネルドリップ 640円
甘めの香りを楽しみつつ、飲んでみると、さわやかな酸味が口の中に広がります。
ですが、後味には、しっかりと苦みやコク、うまみも感じるコーヒーでした。
ネルドリップは、コーヒー豆の油分も抽出されるからか、少しまろやかな印象で、ペーパードリップとはひと味違った味わい。
チーズケーキとの相性も良く、一緒にいただくと、コーヒーがさらにまろやかな印象になりました。
何と言っても、目の前で私のために淹れてくれるという、心が豊かになるような、贅沢で特別な時間を過ごすことができました。
最近では、ランチメニューでの釜飯の提供や夜の営業も始められ、カフェとしても進化を続けています。
- ご縁釜飯(穴子釜飯 または 鯛釜飯) 1,170円 (写真提供 みづは DOBUROKU CAFE)
釜飯には、地元産のお米を使用し、穴子釜飯のほか、県内産の鯛を使用した鯛釜飯など、できるだけ地元にゆかりのあるものを提供したいと考えています。
導かれるように名付けられた「みづは」
最後に、みづはの店名にまつわるお話を・・・。
みづはから天満宮へと進む参道脇には、「酒垂神社」という小さな神社があります。
鎌倉時代の初め、天満宮の社殿再建に働いていた人たちの喉を潤していた水が、いつしか香り高い美酒に変わったと言い伝えがある神社です。
その恵みに感謝し、まつられているのが「水波能売命(みづはのひめ)」という神様。
店名は、この神社の神様の名前を頂戴し、名付けられました。
どぶろくを製造し、販売する場所も必要だったところ、周囲の人から、偶然、天満宮の参道沿いの現在の建物を紹介されたといいます。
井戸水がある兄部家にも近く、同じ参道沿いには酒にまつわる神社も建立されている。
そのエピソードに、様々な縁が繋がりあって、導かれるように、この地にみづはが生まれたのかなと、個人的に感じました。
ぜひ、長い歴史の中で育まれた風土や自然がつくりだすどぶろくや甘酒、そして、店主こだわりのコーヒーを味わってみてください。