芸術の秋!国宝のまちで特別な鋳物体験 防府市「やまぐち鋳物記念館」
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山口県には国宝が10件あるって知っていましたか?
防府市牟礼地域の東大寺別院阿弥陀寺にある「鉄宝塔」がそのうちの1つで、日本に現存するもので、最も古く、かつ最大級の鉄製の宝塔だそうです。
約800年前につくられ、200~300年屋外でつかわれていたということで、鋳物(いもの)の強さ、技術の素晴らしさが覗えます。
防府市は、今でも「鋳物師町(いもじちょう)」という地名が残っているほど鋳物文化が栄えていました。
そんな防府市に2020年にオープンしたのが、「やまぐち鋳物記念館」です。
今回はそこでも大人気の鋳物体験をご紹介いたします。
鋳物の素晴らしさを伝えたい
「やまぐち鋳物記念館」は、防府天満宮の参道沿い、「天神餅」の店舗の奥にあります。
「防府市まちの駅うめてらす」の裏にあり、天満宮の参拝者の方もフラっと立ち寄れる場所になっています。
1821年から200年以上続く鋳物製造の老舗「松村鋳工場」の8代目である、松村憲吾さんがオーナーを務めます。
松村さんが社長を務める「アボンコーポレーション」という会社では、マンホールや鋳田籠(ちゅうたろう)などの鋳物の土木資材製造を専門にしており、土木業界ではとても有名な鋳物のスペシャリストなんです。
ちなみに、筆者が青春時代を過ごした山陽小野田市の「きららビーチ焼野」の日時計やイルカベンチも、「アボンコーポレーション」の作品なんだとか!
なんだか不思議な縁を感じてしまいます。
「鋳物」というのは、砂などで作った鋳型(いがた)に、高温で熱して溶かした金属を流し込み、その型通りに金属製品を作る技術で、割れたり変形した金属も、再び溶かして別の形にすることができるなど、まさに今世界中で取り組まれている「SDGs」なお仕事なんです。
オーナーの松村さんは、いつも「環境のために何が出来るか?」を考えて、最近では海の環境改善のために鋳物を使用する取り組みでも活躍されています。
お話の中で「地球の水は、人間でいう血液だから水をきれいにすることが大事。山、川、海は繋がっている」と教えてくださったのが印象的でした。
そんな松村さんが、「鋳物文化を知って、これからの自然環境を考えるきっかけにして欲しい」という想いから、この「やまぐち鋳物記念館」を開店されたのだそうです。
不思議な金属
さて、「やまぐち鋳物記念館」では、錫(すず)という金属を使った様々な鋳物製品を購入することが出来ます。
鋳鉄は生物に害がなく、とても長持ちする金属で、最近では海底に沈むインターネットのケーブルを守る管などにも使われています。
また、柔らかく、曲がるのも面白い特徴で、それを生かしたお店の人気商品がこちらの「錫ボーイ」。
●錫ボーイ大 4,000円
●錫ボーイ中 3,500円
手足が自由自在に動くので、用途にあわせてスマホスタンドや鍵置きなどにできるという、まさに使い道万能ボーイ!
鋳物体験
そして、大人気なのが錫を使った鋳物制作体験です。
梅小皿 2,000円
アクセサリー 2,500円
中皿 3,300円
錫ボーイ中3,500円
錫ボーイ大4,000円
盃(サカズキ) 4,000円
タンブラー 5,500円
ビールジョッキ 6,500円
(所要時間15分~60分)
さきほど紹介した「錫ボーイ」も自作することができるんですよ。
錫には抗菌や水を浄化してくれる作用もあり、食事が美味しく、特にお酒はまろやかで芳醇になるそうです。
ということで、今回、近々誕生日を迎える父のためにタンブラーを作ることにしました!
まず、お鍋で熱して錫を溶かします。約300℃くらいでトロトロの液状になります。
次に、溶かした錫を型に流し込みます。ゆっくり注いでしまうと入り口で錫が固まってしまうので、焦らずに早く流し込む必要があるのですが、とっても緊張します!
ですが失敗しても、お鍋で溶かせば何度でも再チャレンジすることが出来るのでご安心を!
上手に型に流せたら、固まったところで型から取り出します。上手に出来ていると、とっても嬉しい!
取り出した直後は、型の隙間などに金属が入って出来る「バリ」と呼ばれる邪魔な部分があるので、ハサミで切り落とします。
そして仕上げに、鉄ヤスリ→紙やすりと、どんどんヤスリの目を細かくしていき、表面を滑らかにしていきます。丁寧に作業するほどピカピカに光るので、体験する人は、夢中になって黙々とヤスリがけをするそうです。
もちろん私も夢中になっていました。あっというまに完成。
最後は刻印をして完成。数字やアルファベットの鋲をハンマーで叩くことで、名前やメッセージを刻むことができます。
私は父の誕生日を刻印しました。
他にも杯や小皿、ブレスレットやリングを制作することも出来ます。
ブレスレットなどの作品は、何度も着用したり外したりしていると壊れてしまうこともあるとか・・・。
でも、鋳物アクセサリーはもう一度溶かして新しい姿に生まれ変わることが出来るのです!
SDGsを目指す現代社会にとってピッタリな、作品を購入したり作製体験が出来るという、スペシャルな場所で環境についても考えるきっかけになること間違いなし。
芸術の秋。
国宝ゆかりの防府市で、自分だけのオリジナル作品を作製する特別な体験を楽しんでみてはいかがでしょうか。