世界の”奇妙”がやってきた!山口県立美術館「佐藤健寿展 奇界/世界」
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※本イベントは終了いたしました。
マトリョーシカホテル/中国/2018年
”奇妙”とは・・・そして”普通”って一体・・・!?
写真家・佐藤健寿の作品220点が集合
山口市の山口県立美術館で開催中の特別展「佐藤健寿展 奇界/世界」。
過去20年にわたり、世界120カ国を巡りながら”奇妙なもの”を撮り続けてきた写真家・佐藤健寿。
その姿はテレビ番組でもおなじみですが、今回の特別展は、好奇心に突き動かされるままに追い求めた世界の遺産たち約220点の写真が並べられた展示会です。
見る人の好奇心をも掻き立てる、世界の”奇妙”を一度に味わうことができる特別展、見どころをご紹介します!
「奇なる世界」
「奇界」は佐藤氏の造語だとのことですが、このゾーンでは、その名の通り、氏が捉え続けた「奇なる世界」が広がっています。
例えば、こちらはスペインで撮影された「セテニル」。
セテニル/スペイン/2008年
一見”奇妙”を感じることはなく、崖の上に並んだ白壁のキレイな家々ばかりが目に付きますが、よくよく崖の下に目をやると、なんとここにも洞窟の形に沿うように家が!
うーん、奇妙!
ただ、説明を読んでみると、ここは多様な文化が交差したイベリア半島で、その昔、海を越えて攻めてくるイスラム勢力に備えてこの要塞のような町が生まれたんだそう。一見”奇妙”に見えるこの景色ですが、歴史や背景が分かってくると、その必然性も理解できます。
この特別展では、このように写真で”奇妙”そのものをまず感じつつ、写真に添えられた説明を読んで、その背景を理解する、というのが一連の流れ。200点近くあるので、時間をたっぷり取って来場してみてください。
こちらは、ロシア北部、先住民ネネツの暮らしを写した作品。
ネネツ/ロシア/2017年
トナカイを放牧し、絞めたトナカイを解体して血や肉を残さず食べるという、まさにトナカイと共に暮らす生活の様子が写真から伝わってきますが、それだけではありません。
写真の近くには、国立民族学博物館所蔵の、実際にネネツの女性が身につけている頭布が展示されていて、写真とともに見ることで、より立体的に理解ができるよう工夫が凝らされています。
「ネネツの女性用頭布」(国立民族学博物館所蔵)
「奇妙」と「普通」
「奇界」ゾーンではそのほか、「廃墟」や「習俗」「死」、そして「宇宙」をテーマに、世界中で生み出されてきた”奇妙なもの”がズラリ。
中には日本国内の奇なる風習も紹介されています。世界のことばかりに興味がいってしまいますが、日本で培われてきた風習も十分に”奇妙”!
新郷村 キリストの墓/日本/2015年
キリストの墓の周りで盆踊り・・・。
しかしこれらの写真も、説明を読むと、どれもそれが生み出されたものに「理由」や「情熱」があり、他人の目には「奇妙」に映っているものも、本人にとっては「普通」である、ということが納得できます。
ネス湖/イギリス/2014年
この写真は一見なんの変哲もない「普通」の湖ですが、実は、「ネッシー」で20世紀に世界を騒がせたスコットランド北部の「ネス湖」です。
世界中の人がこの「普通」の湖にロマンを求め熱狂していたということを考えると、一体何が「奇妙」で、何が「普通」なのか分からなくなり、その「境界」そのものがぐらついていく感覚に襲われます。
「世界」から最新作品まで
そして、「奇界」のゾーンを抜けると照明含め雰囲気は一変。
「奇妙なもの」を求めた旅の途中で撮影した佐藤氏の「記憶の断片」を集めた「世界」のゾーンです。
どこかでもなく、でもどこかで見たことあるような、そんな大小さまざまな「世界」の写真が散りばめられていて、それらはこの世界の「奇界」と「奇界」をつなぐ糸のようにも感じられます。
そして最後は、新型コロナウイルスの影響で中断していた世界の旅を再開した、2022年7月からこの特別展直前までに撮影したゾーンがあり、佐藤氏のあくなき旅は現在進行形だということを実感することができます。
展示ゾーンを抜けるとミュージアムショップへ。
ここでは佐藤健寿の名を有名にした写真集『奇界遺産』シリーズや、写真展オリジナルグッズも販売していますので、佐藤健寿ワールドに浸りたい方はこの機会にぜひ。
「佐藤健寿展 奇界/世界」は6月11日まで山口県立美術館で開催中です。
GWのお出かけに、世界の”奇妙”を巡る旅はいかがですか?
- 入館料 *( )内は前売りおよびオンラインチケットの料金
一般・・・・・・・1,500 (1,300)円
シニア・学生・・・1,300 (1,100)円
18歳以下・・・・・無料
コレクション展セット券〈当日券のみ〉・・・一般1,600円/学生1,400円