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アートから命の輝きを感じて 山口市「坂井眞理子小品展ーWOMANー」

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太陽の光が力強く降り注ぐ8月。
夏休みなどの休暇を使ってお出かけや散策をするとき、肩ひじ張らずにちょっと立ち寄る感じでアートに触れてみませんか?

【写真はこちら】命の素晴らしさを感じられる作品

 

気軽にアートに触れられるギャラリー

やってきたのは山口市中心商店街のアートショップ兼ギャラリー「HEART SPOT 102」(山口県山口市米屋町2-6)です。

駅通りとアーケード街の交差点を東に進んだところにあります。

こちらは商店街の活性化に取り組む「街づくり山口」の協力のもと、「山口県立美術館」が運営しているアート・スポットで、生活とアートを密接にしようというコンセプトのもとに、定期的に展示会やポップアップショップを開催しています。

そんな文化の発信拠点でこの夏休みに開催しているのが、「坂井眞理子小品展-WOMAN-」。宇部市出身の画家、坂井眞理子さんが「女性」をテーマにこれまで描いてきた抽象画や素描といった作品を約70点展示しています。

入場・鑑賞無料となっていますので、臆すること無くギャラリーのドアを開けて入っていきましょう。

 

色鮮やかに女性を描いた抽象画

ギャラリーに入ってすぐ左側の壁に据えられたのが、作家、活動家、アーティストなど、歴史上活躍した女性を50人描いた「華開いて歴史をにぎわせた女性のエスプリ」と題されたコーナーです。

赤や青などの原色を使って描かれた鮮やかな抽象画で、マリア・カラスやマリリン・モンロー、紫式部といった女性が描かれています。

これらの作品に込めた思いを、この日ギャラリーを訪れていた坂井眞理子さん御本人に話を伺いました。

「原色が好き」という坂井さん、確かに身に着けているものも、くっきりはっきりとした色使いのものばかり。

選んだ50人は「男の世界だった時代に自分の力だけで世に出てきた女性ばかり」で、その素晴らしさを描きたかったと話します。
それぞれの女性について文献や作品で学び、感じたものをキャンバスに表現したのだそう。

色使いの中でもひときわ目を引くのが鮮やかな赤。
50人の女性の中には「自画像」もあり、キャンバスの大半が赤で描かれています。

「これは自画像というよりも私の頭の中を描いた。赤だけでぐちゃぐちゃになっているの。」

そう話す坂井さん。

赤色について尋ねると、幼少期に大分県で見た、海の向こうから上ってくる太陽が原体験としてある、と教えてくれ、こう添えました。

「今でも赤が好き。真っ赤な絵が描きたい」

 

単独渡米で決めた人生

坂井眞理子さんは山口市の湯田温泉に生まれ、中学校・高校時代は宇部市で育ちました。
女子美術大学に進学し、1962年、坂井さんが22歳の頃、単身で渡米しニューヨークへ。そこでの経験がその後の人生を決定づけていきます。

「LAからNYに飛行機で4時間くらいかかり、アメリカの広さを実感した。ニューヨークに着いてからもビルの大きさ、そして明るさ全てに感激した」そう話す坂井さん。そしてこう続けます。

「日本はまだ戦後で暗かったけど、アメリカにいると、先が明るく、自分のやりたいことをやれ、と教えられた気がして『一生絵描きでやっていこう』とすぐ思った」

その言葉の通り、84歳を迎えた現在でも東京を拠点に精力的な活動を続けています。

 

曲線で描く美しい女性たち

会場には抽象画のほかにも、女性をテーマにした作品が展示されています。

 

こちらは先ほどの抽象画で描いた女性をよりはっきりと描いた素描、具象画です。マリア・カラスや紫式部なども描かれていて、近くにある抽象画と合わせて鑑賞することで坂井さんの世界観をより深く感じることができそうです。

黒で描いた女性のヌード素描も。

「直線はあまり好きではない」と話す坂井さん。「女性の体の線の美しさが私の線の基本」と曲線を好んで使っているのだそう。

 

命の素晴らしさを

鮮やかな色や曲線を使って女性を描いてきた坂井さん。

女性を描くことへの思いを尋ねると、「生命を作るのは女性」とし、「それが女性の美しさ・魅力にもなっている」と答えてくれました。

また、同時に「生きること。命を維持していける力を持っていること」そのものに素晴らしさを感じる、とも。

女性を描くことはつまり、命の美しさや素晴らしさを描いているのだということが坂井さんから伝わってきました。

幼い日に太陽を見た日から、真っ赤で命の輝きのような絵を描き続けてきた坂井さん。その作品展は8月25日まで「HEART SPOT 102」で開催中です。

今年の冬には県立美術館で個展も開催予定となっていますので、そちらも楽しみにしてください!

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