窓いっぱいに広がる風景と、季節の味覚が織りなすひととき 山口市「名田島食堂」
- グルメ
山口市南部、名田島(なたじま)ののどかな風景の中に、
麦畑に包まれるようにして建つ一軒の食堂を紹介します。
【写真はこちら】シャキッと食感が楽しい、新鮮野菜たっぷりの彩りランチプレート
2025年5月にオープンしたばかりの「名田島食堂」(山口市名田島1497-2)は、朝はモーニング、昼はランチ。
どちらの時間も、地域の旬の食材をたっぷり使った料理と、心を落ち着けてくれる景色で迎えてくれます。
麦畑の景色を切り取る窓。名田島の空気に包まれる場所
お店に一歩足を踏み入れると、大きなガラス窓越しに麦畑が広がり、風にそよぐ黄金色の穂が目の前で揺れています。
窓の位置や大きさにはこだわり、まるで一枚の絵画のように名田島の風景が目に飛び込んできます。
店内に入った瞬間、その美しさに思わず惹きこまれました。
「名田島という場所を訪れてもらいたい」と語るのは、名田島出身の伊藤啓子さん。
名田島を好きになってもらいたい気持ちがこのお店には詰まっています。
ランチプレートに詰まった、地元の“今”を感じる味
名田島食堂のランチは、野菜が主役のプレートです。
・本日のランチプレート 1,350円
色とりどりのサラダには、旬の野菜がたっぷり盛られています。
どの野菜も旬を感じるシャキシャキ感があり、風味が豊かです。
名田島食堂では、すぐ隣にある「きまぐれ直売所」から採れたての野菜を仕入れています。
その中でも、この日にいただいたトマトは特に甘みが強く、みずみずしさが際立っていました。
新鮮な素材だからこそ感じられる、やさしく濃厚な味わいです。
旬の野菜にひと手間を加えた料理もランチプレートに添えられています。
プレートには、名田島産の米粉をまぶして焼き上げたとりの照り焼きも添えられています。
野菜が主役のランチプレートですが、ほどよいボリュームのある一品が加わることで、
満足感のある仕上がりになっています。
この米粉が、上品な照りを生み出しています。
なんと、味付けの醤油も名田島産なんです。
「名田島のおいしい野菜をおいしく食べてもらいたい」という思いを込めて、
ひとつひとつ丁寧に仕上げられたランチプレート。
味わううちに、食材だけでなく、自分自身も大切にされているような温かな気持ちに包まれます。
オリジナルブレンドのコーヒー。景色と一緒に味わいたい
ランチのあとは、店内で焙煎されたフレッシュなコーヒーをゆっくりと味わうのがおすすめです。
焙煎を担当する夫の伊藤博明さんが手がけるブレンドは、なんと6種類。
感動した名田島の自然の情景がそのまま名前として込められています。
一杯ごとに異なる味を楽しめるのが魅力です。
なかでも「名田島ブレンド」は、浅煎りと深煎りの中間。
- Natajima ブレンド 550円(ランチにセットの場合は350円)
飲みやすく、やさしい甘さとさわやかな酸味が調和しています。
窓の外に広がる麦畑を眺めながら、香ばしいコーヒーの香りに包まれる時間は、
「名田島時間」と呼ぶにふさわしい贅沢なひとときです。
山口ではめずらしいモーニング文化。「朝こそ、ゆっくりと」
「名田島食堂」では、山口県内ではまだ珍しい“モーニング”の営業も行っています。オープンの朝8時30分には、近くの方や少し早起きした方たちが、静かな時間を楽しみに訪れています。
なかでも人気なのが、フレンチトースト。
・モーニングメニュー フレンチトーストプレート(ドリンク付き) 1,200円
使用しているのは、新山口駅前にある食パン専門店「二度寝の長州」のデニッシュ食パンです。
ゆっくり火入れをすることで、とろけるようなふわふわ食感に仕上げています。
香り高いメープルシロップと、ほんのり塩気の効いた塩ホイップクリームが添えられています。
ホイップクリームの塩味が甘さを引き立ててくれます。
『さくっ・ふわっ・とろっ』の三重奏とはこのフレンチトーストのことでしょうか。
一口食べるたびに幸せな気持ちがふくらんできます。
「景色とともに朝ご飯を食べて一日を有意義に過ごしてもらいたい」とおっしゃていました。
一日の始まりを、名田島食堂でゆったりと迎えてみるのも素敵ですね。
人が集まり、風が吹き抜ける。地域の中に溶け込む食堂へ
「名田島食堂が、コミュニティをつくる拠点になると良いな」と語る伊藤博明さん。
「時間を忘れてゆっくり楽しく過ごしてほしい、癒される空間を目指している」と伊藤啓子さんも続けます。
ゆったりと流れる時間の中で、名田島の風景や食材にふれられるこの場所は、
訪れるたびに心が整うような、そんな不思議な力を持っていました。
おいしい食事と心地よい風景に、きっと心も満たされるはずです。
名田島の魅力を、五感で味わってみてはいかがでしょうか。