旬の野菜から暮らしを見つめよう!萩市「農産物加工販売所つつじ」
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各地で夏祭りや花火大会が再開され、にぎわいが戻ってきた今年の夏。車でのお出かけは、道中の休憩スポットも1つの思い出になります。
今回の舞台は、萩市と山口市を結ぶ国道262号線沿いに位置し、多くのドライバーの憩いの場所となっているお店。萩市の明木(あきらぎ)地区にある「農産物加工販売所つつじ」です。
今回は店長の手嶋一輝さんの案内で、この夏のおすすめ情報を教えてもらいました。
コンセプトは「山口県の旬が味わえる場所」
つつじは平成5年にオープンし、今年30周年を迎えます。
その前身は日曜市。昭和63年頃から、この場所では地域の皆さんが野菜を持ち寄り、市を開いていたといいます。
木のぬくもりが感じられる施設の中には、季節によってラインナップは変わるものの、明木産の野菜やお米を中心に、山口県産の農産物がずらりと並びます。
地元で作られた萩焼や手芸品なども彩りを添え、地域の皆さんが一体となって生み出す温かい空間が広がっていました。
つつじのコンセプトは「山口県の旬を味わう」。
季節に関係なく、さまざまな農産物が手に入る時代ではありますが、こちらでは山口県の気候に合った旬の野菜を届けることを大事にしています。
手嶋店長に聞くと、この夏の一番のおすすめは「トマト」だそう。
トマトは他の野菜と比べて生で味わう機会が多いため、味の違いが強く感じられるといいます。
一般的にスーパーに並んでいるトマトは、青い状態で出荷され、「追熟」させることで赤色に染まります。しかし、手間やロスは発生するものの、畑で完熟させた方が栄養価も高くなるそう。
つつじのトマトは早朝に収穫され、その日のうちに店頭へ。生産者との距離が近いからこそ、実現できるおいしさがここにあります。
敷地内には直売所のほか、農家レストラン「つつじ亭」や、手づくりパンの店「ル・コパン」も併設。つつじ亭では地元産の食材にこだわり、直売所で販売されているお弁当や惣菜なども手がけています。
農家さんとの出会いが暮らしを変えた
店長に就任して3年目を迎える手嶋一輝さん。山口県内の高校で数学を教えていたという経歴を持ちます。
農産物や農業との出会いのきっかけは、大学時代。部活一筋の生活を送ってきましたが、東日本大震災の復興支援で東北を訪れた際に、世界の広さを実感したといいます。
そして中学時代から打ち込んできたテニスから一度離れ、電車で日本一周の旅へ出たとき、北海道である農家さんに出会いました。日の出とともに畑へ向かい、自然と一緒に暮らしていく。その姿を目の当たりにして、これからの暮らしを考えるようになり、農業への思いが大きく膨らんでいきました。
自身の変わらない気持ちを胸に、5年間の教員生活に別れを告げ、1年間は萩市の福栄地区で農業に従事。ちょうどその頃、耳にしたのが「つつじ」の店長募集のお知らせでした。農産物を作ることはもちろん、農家さんから食卓に届くまでの仕組みを学びたい、その流れに携わりたいという思いでこの場所へやってきました。
木と暮らしとこれからと
8月26日(土)・27日(日)の2日間、「つつじ」では、県内を中心とした15組の木工作家が集うイベント「木と暮らしとこれからと」が開催されます。
木の器や雑貨の販売をはじめ、親子で木に触れ、楽しめるワークショップも多数用意。企画した手嶋店長は、若い世代や親子連れのお客さんが「つつじ」を訪れるきっかけになればと期待しています。
イベントでは出展者との会話や、さまざまな体験を通して、自然とともに歩む「生き方」を考える。
そして直売所で、こだわりの農産物を手に取り、自身の「食」を見つめてみる。
この夏、そんな未来の「暮らし」を考えるきっかけが、「つつじ」から生まれるかもしれません。そうした新しい出会いをぜひお楽しみください。