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直径30cm!健康を支える予約制の田舎パン 山口市「菊本」

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山口県内にはたくさんの個性豊かなパン屋がありますが、その中でも異彩を放つパン工房が山口市にありました。県内だけでなく全国のファンを抱え、「健康」「生活」という観点から辿り着いたそのパンの大きさはなんと直径30cm!
今回そのパン工房を訪ねてきました。

工房の様子や取り扱うパンなどの商品写真はこちら

元銀行員が手がける1種類だけのパン

山口市吉敷の山すそにある住宅街の一角。看板も何もないこちらの民家が事前予約制の薪窯パン「菊本」(山口県山口市吉敷赤田2)です。

ここで日々パン作りを行なっているのは、山口市出身の菊本 拓志(ひろし)さん。


大学を卒業してすぐに地元の銀行に就職した経歴をもつ、元銀行員です。

銀行時代には事業再生のコンサルティング業務に携わっていましたが、会社の副業制度を機にパン作りの魅力に出会い、一念発起して12年勤めた銀行を退職。
元々祖父が住んでいた家屋の一部を改装し、2023年8月「菊本」をオープンしました。

パン工房内で存在感を放つのは4mもの奥行きがある大きなパン焼き窯。
裏山から取ってきた薪で火を起こす薪窯で、退職後に1年近くかけて作り上げました。

パンを焼く日、菊本さんは朝5時から作業を開始します。

 

工房で作って販売するパンはフランスの”田舎パン”「カンパーニュ」1種類のみという潔さ。
材料は北海道産の小麦とライ麦、萩の塩と水のみで、いずれもこだわり抜いた最高級のものを使用しているのだそう。


これらをこねて作った生地に「サワードウ」と呼ばれる乳酸菌と酵母を主体とした伝統的な「パン種」を加え数時間発酵させます。1つのパンは生地ベースでなんと2.4kg、国内でも最大級のサイズです。

 

「大きく焼いた方が中に水分が残って、もちもちして美味しいパンになる」と菊本さんは話します。

 

窯の中の温度が260℃まで上昇したらいよいよ焼きの工程に。
窯の奥まで届く長い木の棒を駆使し、手際よくパンを窯の中に入れていきます。

1回で焼くのは30個程度。窯の中の場所によって温度も変わってくるため、配置する場所に応じて熱の入り方をコントロールする切り込み(クープ)を入れていきます。

そうして窯の中に入れられた後は、定期的に位置などを変えられおよそ1時間ほどかけて焼き上げられていきます。
薪窯としたことにより、熱がじっくりとパンの中まで入っていくのだそうです。

 

「家族との時間」と「健康」から

菊本さんがこのパン作りのモデルとしたのは、広島にある「ブーランジェリー・ドリアン」というパン屋さんでした。

ここの店主が『捨てないパン屋』という本を執筆していて、そこに書かれている、薪窯を使い乳酸菌に着目したカンパーニュのパン作りや、労働時間の見直しなどに深い興味を持ったそう。

実際に「ドリアン」を訪れ色々と勉強したりアドバイスをもらったりして、自分のパン作りのイメージを膨らませていきました。

銀行員時代には残業時間含めなかなか自分の時間が作れなかったと話す菊本さん。この春小学生になったばかりの長女と2人の未就学児、あわせて3人の子をもち、新しい仕事をするのであれば家族との時間を大切にしたいという思いがあったのだとか。

そこで「ドリアン」の経営を参考に働き方について考え、今はパンを焼くのは週1回〜2回、働くのは朝5時から14時までと決めているそうです。

それを実現するためには、1回で焼く量を多くしないと労働時間の削減と収益の確保が両立できないと考え、30個ほどのパンが一気に焼ける巨大な窯作りにこだわったのです。

 

また、菊本さん自身21歳の頃、肺の難病を患い、1ヶ月ほど40度近い発熱が続く時期があったそう。それ以降、最近まで投薬生活が続いていたそうで、その体験から、健康であることの重要性を深く感じ、健康を支える食について深く勉強するようになったのだとか。

その結果、自分の思いと健康を叶えるものとして、2000年以上前からヨーロッパの生活に深く根付き人々の命を支えてきた「伝統的なパン作り」に辿り着きました。

「健康な生活を支える土台でありたい」

その思いを込めて焼き上げられたパンは「御養ひ(おやしなひ)」と名付けられました。

 

直径30cmの国内最大級!

窯に入れて焼くこと1時間近く。
最終的な焼き具合を確認すると、いい色に焼き上がったパンが次々と取り出されていき、工房はパンの焼ける香ばしい香りに包まれます。

 

さあ、そしてこちらが「菊本」が手掛ける1つあたりおよそ2kgというカンパーニュパン「御養ひ」です。

  • 御養ひ 3,700円 ハーフサイズは2,000円

 

直径が約30cmで、手に持ってみるとこの大きさ!
「これがパン!?」と言いたくなる、国内ではほぼお目にかかれないサイズ感です。

乳酸菌発酵により、パンが膨らむために必要なグルテンを部分的に分解するため目の詰まったずっしり「固い」パンとなっていて、冷蔵庫で保存すると1ヶ月は日持ちするのだとか。少しずつ切って家族や仲間で分け合って食べるスタイルが良さそうですね。

菊本さんによると、乳酸菌の働きでグルテンを分解して旨味に変え、消化もしやすく、酸の働きで保存性が高くなる、とのこと。日が経つにつれて酸味が落ち着いてくるので数日置いて食べるのがおすすめだそうです。

 

筆者も実際に1週間ほどかけていただいてみましたが、確かに最初の日は少し酸味を強く感じましたが、数日後に食べてみるともちもちとした食感と共に旨味をしっかりと感じました。

食べる時には、蒸したり、オーブントースターで少し温めて食べたりするのがおすすめとなっています。
パン自体は素朴な味ですのでジャムやバター、惣菜などお好みの具材を乗せて食べてみてもよさそう。

筆者はバターを乗せて食べましたがとても美味しかったですよ!

 

ネット販売で1ヶ月待ちの”滋養”パン

お店の情報はInstagramでの発信のみだそうですが、去年8月のオープン以来全国のパン愛好家などからまたたく間に注目を集め、多くの注文が寄せられているそう。

パンは現在店舗等での販売は行なっておらず、ネットでの受注を通じて、郵送もしくは工房での受け渡しのみという完全事前予約制となっています。ちなみに注文のほとんどが県外の方の郵送発注だそうですが、中には愛知県からわざわざ「菊本」のパンを受け取りに山口市までやってきた人もいるのだとか。

週に1〜2回、1日30個程度焼くペースのため、注文してから手元に届くまで今では1ヶ月程度の期間が必要となっています。注文から数日でものが届く現代にあって、この「待つ」というのも新鮮な体験で、より楽しみが熟成されていく期間ともいえそうですね。

 

菊本さんによると、「御養ひ」とは、パンが日本に伝えられた16世紀に国内のキリシタン向けの宗教書ではパンを「御養ひ」と訳してあったことからそれをとって名付けたそう。意味としては「滋養」、つまり栄養のあるもの、体を養うもの、ということで、まさに菊本さんがパンを通じて伝えたいメッセージそのものだったのです。

「パンを食べた人が、よし今日も頑張ろう、何かに挑戦しよう、と思ってもらえたら嬉しいし、それを支えるものでありたい」菊本さんはそう話していました。

思いとこだわりがしっかり詰まった素朴な”滋養”パン。一度生活に取り入れてみませんか?

 

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