闘病経験から伝える食の大切さ 山口市「食堂マンドリル」
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今回ご紹介するお店のメニューはなんとたった1つだけ!?
店主が闘病経験を通して気づいた「食の大切さ」を伝える食堂をご紹介します。
2024年4月オープン!「食堂マンドリル」
JR新山口駅南口近くの住宅も多いエリアに今年4月、ひっそりとオープンしたのが「食堂マンドリル」(山口県山口市小郡高砂町6-32やさい畑店舗内)。
「やさい畑」という家庭料理の店を間借りして週3日、夜のみ営業しています。
店内はカウンターや個室になった座敷の席があり、どこか懐かしさを感じる昔ながらの小料理屋の雰囲気。
外も静かで、窓からは店先に植えられた緑が見え、時間がゆっくり流れているように感じます。
店主・デミさんが闘病経験から気づいた「食の大切さ」
店主は奥本耕司さん、ニックネームはデミさん。
このお店を切り盛りしているだけではなく、シンガーソングライターや自分自身の経験をもとにした「食」の大切さを伝えるパーソナルレッスン、講演会等幅広く活動されています。
デミさんは元々「やさい畑」の店舗を母親と2人で営んでいましたが、数年前にがんを患い、治療のため飲食業から離れていました。
闘病する中でデミさんが辿り着いたものの1つが「食事療法」。
飲食業で働いていたものの、忙しさから自分自身の食事はないがしろにしがちだったそう。
「食事は幸せなものであり、ただお腹を満たすのではなく命をもらっているもの。そして副作用のない薬となってくれるものでもある。病気になって改めて食事に向き合い、『食の大切さ』を感じた」と言います。
そして癌が治ってからは、自分自身の経験から辿り着いた『心が宿る食事』をもっと多くの人に知ってもらいたいとパーソナルレッスンを開始。
しかし、健康な時にこそ知っておいてほしい食の知識ですが、普段はなかなか食に目がいかずレッスンで届く人は限られてしまうことや、せっかくレッスンを受けても日々忙しい時間の中で毎日の食事をこだわって作るのが難しいという声があったことから、もっと気軽に『心が宿る食事』に触れてもらいたいと、この「食堂マンドリル」を始めることにしました。
メニューは1つだけ。「マンドリルのととのい飯」
- マンドリルのととのい飯 1,800円
「食堂マンドリル」のメニューはこちらの「マンドリルのととのい飯」の1つのみ。
お煮しめをメインに、発芽玄米ご飯、焼き魚、みそ汁、小鉢がセットになっています。
野菜はできるだけ農薬を使っていないものを選び、添加物も使わず、丁寧に時間をかけて調理。
また、ミネラルをたっぷり含んだ塩にこだわっており、4種類の塩を独自の配合でブレンドした特製塩を使っています。 (この特製の塩は店頭で販売もしています!)
メインのお煮しめは特製の塩と出汁、醤油のみで味付け。砂糖はつかっていません。
また、10個の食材それぞれの味を調和させ、美味しさをより引き出すために1つの鍋ですべての食材を煮込んでいるのだそう。
大ぶりにカットされた野菜の一つ一つの甘みや風味が引き立つシンプルな味付けながら、「薄味」というような物足りなさは一切感じませんでした。
それよりも、「あれ、こんな味だったんだ!」という普段は見過ごしていた食材のそれぞれの味を発見することができた気がします。
また、発芽玄米ご飯は栄養価が高く、デトックス効果も期待できるんだそう。
土鍋で炊いていて、お米の甘みをより感じて美味しく、白米よりも噛み応えがあるため、ついつい早食いになってしまう私も自然とよく噛んで食べていました。
そのほか、焼き魚やみそ汁、小鉢も全体を通して様々な食感や味わいが楽しめ、ひとつひとつじっくり味わいながらいただきたい食事でした。
私自身、これまで「身体によい食事」というと「塩分が控えめで味が薄く、味も量も物足りない」というイメージでしたが、そういった物足りなさはなく、味・量ともに満足感がしっかりありました。
また、家では毎日作ることがどうしてもハードルが高くなってしまうバランスの良い和食をいただき、「今日の私は身体にちょっといいことをしたぞ」とちょっと嬉しい気分になりました。
「マンドリルのととのい飯」は基本は予約となっていますが、材料があれば当日の来店でも提供できるということです。
「来た人に意味のある食事の時間に」
今回、食事だけではなく、様々な経験をしてきたデミさんとのお話からも元気をもらえたような気がします。
デミさんは「今では病気をしてよかった、その後の人生が大きく跳ねるきっかけだったと思っている」
そして、「心の通う仕事をして、来た方に意味のある時間にしたい。体を悪くしている人や病気で食事に制限がある人にも食べてもらい、改善のきっかけや新しい選択肢になれば。本当の食事とは何か、自分が病気になってから知った食事の良さを伝えていきたい」と話していました。
自分を体を労わる「マンドリルのととのい飯」、食べに来てみませんか?