伝統を受け継ぐ「大内塗」 山口市「中村民芸社」
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山口の代表的な工芸品で、お土産としても親しまれている「大内人形」。
見る人をほっこりさせる優しいお顔が生み出される、その制作現場を紹介します。
100年近く続く工房
山口市にある「中村民芸社」。
1926年に創業し、山口市の伝統的な工芸品を制作・販売してきました。
現在は3代目の中村功さん、弟の建さん、建さんの奥様の理恵さんが中村民芸社を盛り立てていらっしゃいます。
「大内塗」とは
「大内塗」は室町時代に絢爛豪華な大内文化の象徴として誕生し、当時の大内氏の重要な交易品として扱われていました。
大内氏が滅び大陸との交易は中断され、また江戸時代になって毛利氏が城を萩に移したことにより、高価な漆器づくりは姿を消しました。しかし、明治時代になって「大内椀」が発見され、この大内椀を参考にして大内塗が再興されます。
「大内塗」の名称も明治時代から使われるようになりました。大正時代には大内人形の原形が山口県工業試験場によって作られ、現在の大内塗へと続いています。
「大内塗」で作られているのは、椀や盆、花器などが代表的で、「大内朱」と呼ばれる朱色や大内家の家紋を模して金箔であしらった「大内菱(おおうちびし)」、秋草模様が大内塗の特徴です。
また、丸顔におちょぼ口、切れ長の目もとが特徴の、とても愛らしい表情をした大内人形は、夫婦円満の象徴として見る人の心を和ませ、お土産物としてもとても人気の高い商品です。
ファンを増やす
今回、お話を伺った中村理恵さんは、作るだけではなく知ってもらう活動をされています。
これまでは記念品や引き出物などの需要が多くあったそうですが、年々需要も減ってきた上にコロナ禍が追い打ちをかけ、いかに外に伝えるかを日々試行錯誤されています。
現在、大内塗漆器振興協同組合は4店舗あり、職人さんが高齢で情報発信の経験もあまりないので、理恵さんが一手に引き受けてSNSや、地域のイベントなどでアクリル絵の具を使った絵付けの体験を子ども向けに行っています。
また、売るよりも体験してもらって良さを知ってもらってファンを増やしていきたいと、山口ふるさと伝承センターではマイ箸づくり、店舗ではオリジナルアクセサリー作りを体験できるプログラムを実施中です。
店内には、昔から受け継がれている盆や椀のほかに、大内人形を現代風にアレンジした『Ouchi夫婦』というオーダーメイドで作る大内人形も。
とても愛らしいパステルカラーの大内人形で、結婚式のウェルカムボードのアイテムとしても使われているそうです。
スタンダードな大内人形は工房によって人形の顔や加飾(漆絵・箔絵・沈金など)に特徴があり、よくよく見てみると細かいところまでこだわりのある絵付けがされています。
また、キーホルダーやアクセサリー、干支や節句の飾りなど日常生活に取り入れやすいアイテムも。
「中村民芸社」で作られた「大内塗」の商品は
取材で訪れた大内御堀の店舗以外にも山口市内の湯田温泉、竪小路、中心商店街で取扱いがありますので
新緑の季節、街歩きがてら訪ねてみてはいかがでしょうか。
取扱店舗(全て山口市内)
湯田温泉(各売店にて)
- ホテルニュータナカ
- ホテル梅野屋
- 松田屋ホテル
- ユウベルホテル松政
下竪小路
- 山口風月堂
- 山口ふるさと伝承総合センター
- 西の京やまぐち物産館 長州苑
中心商店街
- 山口井筒屋
- 特産品ショップやまぐちさん