頑張るあなたにひとくちのご褒美を 山口市「明日を好きになれるお菓子 ひなこ」
- グルメ
忙しさに追われる毎日でも、ふと甘いものに癒される瞬間があります。山口市の住宅街に、小さなお菓子屋さんがオープンしました。ふわりと香るバター、季節を映すフルーツ、そして店主のまっすぐな想い。お菓子一つひとつに、やさしさがぎゅっと詰まっています。あなたの明日が、ほんの少し好きになる。そんなひとくち、いかがですか？
住宅街から甘い香りをお届け
2025年3月23日、山口市黒川の住宅街に、ふわりと甘い香りが漂う小さなお菓子屋さんが誕生しました。
その名も「明日を好きになれるお菓子 ひなこ」（山口県山口市黒川789-5）。
可愛らしい木の扉を開けると、店主でありパティシエの相場雛子さんが、あたたかい笑顔で出迎えてくれます。
店内のショーケースには、約8種類あるケーキの中からその日おすすめが並びます。
季節ごとの素材を活かしたスイーツ。この時期のイチオシは、周防大島産のせとみと甘夏を使った爽やかなタルト。
柑橘のフレッシュな香りと、しっとりした生地のバランスとサクッとしたタルトが絶妙のバランスです。
焼き菓子は常時10種類ほどが並び、ドレンチェリーのクッキーや、レモンとチョコのパウンドケーキなど、小さな子どもから大人まで人気のラインナップ。
実際にいただいてみると、口に入れた瞬間、バターの香りがふんわりと広がり、優しい甘さが心まで包み込んでくれます。幸せを味で表現するとこんな感じかも知れません。
焼き菓子が並ぶ窓辺（焼き菓子250円～）
自分が楽しむ
店内には、相場さんの“好き”がたくさん詰まっています。
まず目を引くのは、やわらかな雰囲気のロゴマーク。実はこれ、相場さん自身がデザインしたものなのだとか。もともと絵を描くのも好きだったという彼女の作品は、店内の壁にも飾られており、お菓子だけでなく空間そのものからも温もりが伝わってきます。
さらに、ショーケースの下に貼られたタイルも相場さんの手によるもの。お店のイメージにぴったりの優しい色合いで、細部にまでこだわりが感じられます。
そして、お菓子を引き立てる器たちにも注目を。
- 白雲窯に特注したトレー（ケーキ：左上から、抹茶と桜のロールケーキ370円、イチゴショート520円、ベイクドチーズケーキ470円、プリン300円、ガトーショコラ490円、せとみと甘夏のタルト500円）
ケーキを乗せているトレーや焼き菓子のディスプレイに使われている器の多くは、同じ黒川にある「白雲窯」に特注したもの。一部は違うものもありますが、「好きなものに囲まれていると、自分も楽しく仕事ができるし、お客さんにも楽しんでもらえると思うんです」と語る相場さんの言葉に、空間づくりへの愛情が感じられました。
自然と「食」の道へ
相場さんが菓子作りの道へ進んだのは、ご実家が営んでいたお弁当屋さんの影響が大きかったそうです。自然と「食」に関わる環境で育ち、高校で調理師免許を取得。卒業後は製菓の専門学校に進み、洋菓子店に勤務したのち、ご実家でお菓子の販売を3年間続けました。口コミでファンが増えていき、「いつか自分のお店を持ちたい」という夢を、ついにこの春、実現させたのです。
店名にもなっている「明日を好きになれるお菓子」というコンセプトについて尋ねると、「すべてのお母さんを癒したい」というまっすぐな想いが返ってきました。
「今の時代、育児と仕事、家事のすべてを頑張っているお母さんたちがたくさんいます。そんな人たちに、お菓子を通してほっと一息ついてほしい。ほんのひとときの“秘密の楽しみ”として、食べ終えたあとに“よし、また家族のために頑張ろう”と思えるような、そんなお菓子を届けたいんです。」
相場さん自身も2人の子どもを育てるお母さん。上のお子さんが小学校に上がるこの春までにお店を開きたいという想いを胸に、準備を重ねてきました。ご実家も自営業で、いつも母が家にいてくれる環境で育った経験から、自分の子どもたちにも同じ環境を作りたいと考え、家とお店を一緒に新築するという選択をされました。
現在は、アレルギーを持つ子どもや、大人から高齢者まで安心して食べられるお菓子の開発にも取り組んでいるとのこと。やさしさと誠実さに満ちた「ひなこ」のお菓子は、これからますます多くの人の心と舌を癒してくれそうです。
忙しい日々のなかで、少しだけ立ち止まって、自分にご褒美を。
「ひなこ」のお菓子が、あなたの明日をちょっと好きにしてくれるかもしれません。
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