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築90年の古民家に宿る、物語のある暮らしの食品や道具たち 山口市「わっか屋」

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山口市大殿エリアの築90年の古民家で17年続く「わっか屋」。店主の角麻衣子さんが「人と地球が喜ぶ暮らし」をテーマに選ぶオーガニックやフェアトレード商品には、必ず作り手の物語があります。パレスチナの平和への願いが込められたオリーブオイルから地元農家の有機野菜まで。古い建物のぬくもりに包まれた、心豊かな暮らしのヒントをご紹介します。

【写真はこちら】物語の詰まった素敵なアイテムとの出会いを

 

築90年の古民家で出会う、心温まる暮らしの道具たち

山口市の大殿エリアを歩いていると、大殿大通沿いにひっそりと佇む古い建物に出会います。「大内氏館跡」や「龍福寺」からも近いこの場所に、築90年を超える古民家を活用したお店「わっか屋」(山口市金古曽町1-9)があります。

オープンから今年で17年を迎えるこの店は、オーガニックやフェアトレードの雑貨、そして毎日の暮らしに寄り添う日用品などが並ぶ、小さくて温かい空間です。

店主が大切にしているのは、「人と地球が喜ぶ暮らし」というテーマ。棚に並ぶ商品はどれもひとつひとつ丁寧に選ばれたものばかりで、必ずそこには作り手の思いや背景となる物語があります。

それを伝えていくことこそが、「わっか屋」が一番大切にしていることなのです。

 

パレスチナから届く、平和への願いが込められたオリーブオイル

「わっか屋」で特に人気なのが、パレスチナで作られるエクストラヴァージンオリーブオイルです。

  • パレスチナ・オリーブオイル(250cc)1,998円

農薬や化学肥料を使わず、摘み取って24時間以内に低温で圧搾されたこのオイルは、口に含むと豊かな香りが広がります。シンプルに塩と合わせてサラダにかけるだけで、いつもの野菜が特別な一皿に変わります。

そしてこのオイルには、味だけでない大切な物語が。実は、パレスチナとイスラエルの人々が協力して作り上げたものなんです。長く続く複雑な問題の中で「共に手を取り合う希望の象徴」として生み出されたオイルは、国際的なコンペティションで金賞を受賞するほどの品質を誇っています。

 

優しい味の手作りポン菓子

子どももうれしいお菓子も多く取り扱っている「わっか屋」。どこか懐かしいポン菓子もありました。

  • 玄米ポン菓子 390円

このポン菓子を作っているのは「みやきの森」という農家さん。自分たちが農薬や化学肥料を使わずに育てたお米を、自らポン菓子製造機にかけて仕上げています。味付けには優しい甘さの洗双糖やこだわりの塩を使用し、生産から製造まで一貫して同じ作り手が手がけています。

大人はもちろん、子供も安心して食べられる、素朴で温かい味のお菓子です。

農家の思いをつなぐ有機野菜

日によっては、山口県内の農家から届く野菜も店頭に並びます。

津和野の「ゆるり農家」さんが育てる野菜は、畑の草を刈り、風や光がバランスよく入るように手をかけて作られております。農薬や肥料を使わずに育てていて、年々野菜が大きく育つようになったのは、土が元気になっている証拠だといいます。

店主は大学を卒業した頃、有機野菜で実家のごはんを作った時の体験を今でも覚えています。「農家さんありがとう、大地や水もありがとう」と自然と感謝が湧いてきたその瞬間から、地元の農家さんを応援したいという思いが芽生えたそうです。

「体に入った瞬間、感謝の気持ちがわく。そんな野菜をお客さんにも届けたい」

店主さんのその言葉からは、扱う野菜への確かな自信と温かい思いが伝わってきます。

 

「店主の原点となる物語」

「わっか屋」を営むのは角麻衣子さん。

大学で国際文化を学び、NGO活動やフェアトレードの会社でのインターンを通して、社会貢献や環境問題への関心を深めていきました。

卒業後はNGO代表が始めたお店で働き、企画書に真っ赤な添削を受けて涙することもありながら、社会人としての基礎を身につけていきました。そうした経験を経て、2008年に自らのお店「わっか屋」を開業。

柔らかな雰囲気の奥にある凛とした芯の強さは、こうした様々な経験を糧にしたからこそ。選び抜かれた商品には、店主自身の歩みや信念が色濃く反映されています。

 

支え合いの輪が広がる世界

「私を支えてくれているものは?」と尋ねると、麻衣子さんは迷わず「オーナーでもある夫の存在です」との答え。お店のアイデアを語るときも、新しい挑戦を決めるときも、いつもそばで支えてくれる心強いパートナーだといいます。

そして、ご近所さんや友人、お客さん、作り手さん‥麻衣子さんを取り巻くすべての人が、「わっか屋」という場所を形作る大切な存在になっています。

なんと近所では犬を三世帯で一緒に育てているそうで、そのエピソードからも“つながりを楽しむ暮らし”が垣間見えます。

わっかが広がる未来

筆者が「わっか屋」を知ったのは今から約15年前のこと。実はその頃から地元では「わっか屋の麻衣子さんは皆が大好きになる温かい人柄なんだよ。」と、密かに評判でした。

それから長い年月を経た今でも、麻衣子さんとお店と食品の存在感は変わらず輝いています。
それは日々、人と地球に感謝をし、温かい気持ちを循環させているからかも知れません。

築90年の古民家のぬくもりに包まれながら、モノと人のストーリーを体感してみてはいかがでしょう。きっと暮らしがちょっと豊かになるような出会いが待っているはずです。

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