地元に恩返しを!山口出身の若手音楽家たちが続けてきた「ふるさと音楽会」の挑戦
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防府市地域交流センターアスピラート。2月のこの日、リハーサル室にそれぞれ自分の楽器をもった演奏家の人たちの姿がありました。

山口県出身の若手音楽家たちで構成される「ふるさと音楽会」のメンバーたち。翌日に控えたコンサートに向け、入念な音合わせとリハーサルを行っていました。
地元山口に音楽で恩返しを、と活動を続ける彼女たち。いま、その音楽会が「続けられるかどうか」の岐路に立っています。
真剣なのに明るい、「ふるさと音楽会」の時間
この日集まったのは「ふるさと音楽会」7人のメンバー。全員山口県内出身で、多くは県外を拠点にそれぞれ活動しています。
今回は週末の2日間、防府と岩国で行われる音楽コンサートの演奏会のために集合。取材に訪れたのは、初日の防府公演を終え、翌日の岩国公演に向けた練習の最中でした。防府とは全く異なる演奏曲目のため練習は1曲目から。

演奏が始まると、毎日顔を合わせているメンバーではありませんが、ピタリと音が合い、美しいメロディーとなっていきます。
数分ほどの曲を演奏し終えると、
「ラストの終わり方、こうした方がいいんじゃない?」
「ここの部分もう一回やってみよう」
そんなふうに、演奏の改善点を、真剣に、でも明るく話し合う時間が続きます。

そして話し合いが終わると、もう一度、同じ曲を納得いくまで演奏します。
「上手くなるため」だけではなく、「地元の客席にいい音楽を届けるため」に、音を作り直しているのが伝わってきました。
「地元で演奏を」の思いで立ち上がった「音楽会」

「ふるさと音楽会」は2017年に結成され、これまで7年間にわたって地元・山口県でコンサートを開催してきた団体です。
代表をつとめる河野友紀さんは周南市出身。

防府西高校を経て国立音楽大学へ進学し、現在は関東を中心にファゴット奏者として活動しています。
河野さんが語ってくれたのは、活動の“始まりの理由”でした。
東京で山口県民の音楽仲間と演奏を共にしたことがきっかけとなり、「山口で演奏する機会がほとんどない」「学んだ音楽をお世話になった人たちへ還元したいのに、その場がない」そんな実感が積もっていったといいます。

「地方から出て音楽を勉強したのに、今までお世話になった人たちに還元ができない環境だった」
「音楽はお金がかかる。家族とか応援してくれた仲間に、恩返しできる手段がない」
“地元で演奏したい”。その思いが、活動の原点でした。
音楽や楽器との出会いを
ホルン担当の山本茜さんは山口市出身。高校でホルンに出会い、現在は東京でホルンを専門的に教えているそうです。
「山口でホルンを学ぶ場はあまりない。地元で少しでもホルンの魅力を知ってほしい」

ホルンは、やわらかいのに芯がある音色で、旋律にも和声にも溶け込める楽器です。けれど、触れられる機会が少ないと、その魅力は“知る入口”自体が限られてしまいます。

だからこそ、県外で活動するメンバーも含め、みんなが山口に戻ってきて音を鳴らす。その行為自体が、次の世代へ向けた道しるべになっているように感じました。
回数を重ね徐々に成長を実感
河野さんによれば、1回目の出演者は16人ほど。最初期はとくに「アンサンブル(少人数編成)」を中心にプログラムを組んでいたそうです。

東京に出て初めて、金管3人〜10人、木管五重奏や編成違いなど、“アンサンブルの世界の広さ”を知ったそう。ところが、そうした名曲に出会える機会が山口では少ないと感じていました。
その課題意識が、「まずはアンサンブルを山口に届けたい」という形になっていったといいます。

また、初回はお客さんが160人ほどでしたが、2回目は200人超、3回目は270人ほどが来場したそうで、回を重ねることで応援の輪が広がっていったことがうかがえました。

「1回目からずっと来ています、という方もいて」
「毎回やってることに対して、応援してくれる人の幅が増える」
その“手応え”があったからこそ、7年続けてこられたのだと思います。
続けていく中で直面した課題
「ふるさと音楽会」は結成後2018年より毎年定期演奏会を開催してきましたが、その開催時期は帰省で皆が集まりやすい年末年始が中心でした。

ただ、ここには、それだけではない「音楽会」が抱える大きな理由があったのです。それは、交通費の問題。
各地から山口へ集まる交通費、会場費など運営費は演奏者側の負担が大きく、実質的に赤字運営が続いているのが現状なのだそう。
チケット代だけではメンバーの交通費や出演費を賄うことができず、「帰省にあわせた開催」とすることで事業そのものの支出とは切り離して考えるようにしているのだとか。
河野さんは「最初はみんなで手出しして、『余ったら返す』感覚で続けていた」と話します。
コロナ禍で国の補助金があった時期は、出演者へ支払いができ、運営としても積み立てができたそうですが、その仕組みがなくなったこの数年は、集客も含めて厳しさが増していったそう。

「地元に恩返しがしたい」という理念はある。でも、持ち出しだけで続けるのは限界がくる。
このような現状の中、なぜ「ふるさと音楽会」をやっているのか分からなくなった時期もあったと河野さんは振り返ります。
クラウドファンディングへの挑戦

こうした背景があり、ふるさと音楽会が選んだ「解決のための挑戦」が、クラウドファンディングでした。
目指すのは、山口で質の高い音楽を「継続的」に届け続けること。そして「帰省ついでの演奏会」を脱却し、山口の文化として根付く音楽会へ進化させることです。
次回公演として告知されているのは、2026年5月31日(日)。会場は「防府市地域交流センター アスピラート 3F 音楽ホール」、開場13:30/開演14:00(終演予定16:00)です。
この公演に合わせる形でクラファンのリターンが用意されていて、ライトな応援から、会場参加、リハ見学、次世代支援、法人協賛まで幅広く用意されています。
たとえば、
応援コース(1,000円〜):お礼メール+公演の様子をまとめたPDF報告書/パンフレットへの芳名掲載
参加コース(3,000円〜):会場で楽しむチケット系プラン
体験コース(10,000円〜):VIP席、リハーサル見学&集合写真、次世代支援(地元の小学生・学生を招待できる枠)など
「会場へ足を運ぶ」「遠方から見守る」「子どもたちへつなぐ」といった、応援の関わり方を選べるのも、このプロジェクトの特徴になっています。
「ふるさと音楽会」が続いていくことは、演奏会が一回増える以上に、「山口で音楽に出会う入口」が増えることでもあるはずです。

「クラシックの曲をよく知らなくても楽しんでもらえるような演奏ができたら。そして知らない曲を聞いて『あ、こんないい曲あるんだ』と、新たな出会いが生まれるような演奏会にできたらいいなと思います。」
河野さんはそう話します。

気になった方は、是非一度プロジェクトページをのぞいてみてくださいね。





