土から離れない暮らし 防府市「暮らしの道具と古いもの soil」
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防府市桑山にある「もっくのもり」というWork & Community Space(運営母体は原工務店)。
その手前のお庭の中にある店舗「暮らしの道具と古いもの soil」を今回ご紹介します。
お庭はせせらぎの水の音が心地よく、ドングリなどの木の実も植栽されていて、スズメやヤマバトがやってきて戯れる姿はいつまでも飽きずに眺めていることができます。
大きな通りに面した立地でありながらも、まるで森の中のような、穏やかに時が流れています。
暮らしの道具と古いもの
オープンは2021年5月。
店主・おくしまゆかりさんは、暮らしに関わること全般がお好きで、趣味でうつわやリネン、アンティークのイスなどを蒐集されていました。
「もっくのもり」のリノベーションをお手伝いしたという縁もありお声がけがあり、思い切ってお店をやってみることに決めたそうです。
昔から、モノが消費されていくことに少し違和感を感じていて、土・水・空気がうまく循環できると地球も喜ぶ、そして人にもいい巡りがもたらされます。
店舗前のお庭を作られた原工務店の会長は「人は土から離れてはいけない」と話しており、「土(地球)を大切に」という思いから、お店の名前を「soil」と名付けたと話します。
木漏れ日あふれる店内
店内には、ゆかりさんのお気に入りのモノが並び、アンティークのイスや土器のかけらなどのディスプレイと共にとても心地のよい空間を演出しています。
さらに店舗の引き戸を開け放つと土や木々の香りがして森の中にいるような感覚が広がります。
木漏れ日が池に反射して店内に差し込む様子に思わず見とれてしまいました。
山野邊孝さんのうつわ
イタリアの業務用食器はお手頃価格がうれしいですね
うつわは福島県で作陶されている山野邊孝さんのもので、藁を焼いた釉薬は自然に優しく、使い心地も抜群です。
真っ白いイタリアの業務用食器は、ぽってりしていて、同じサイズでも微妙にゆがみがあるところが手作り感があって温かみを感じます。
真鍮のお皿やリネン・布小物などは山口の作家さんの手によるもので、一点一点に思いが込められています。
モディカのチョコレート。甘しょ糖のジャリジャリした歯触りがクセになりそうです。
お店では食品も取り扱っていて、グルテンフリーでトウモロコシのパスタや、オーガニックのスパイスなどがあります。
中でも珍しいのは、古代アステカ文明が起源といわれるシチリア島・モディカのチョコレート。
こちらは原材料が有機カカオマスと有機甘しょ糖のみなので、乳製品アレルギーなどで市販のチョコレートが食べられない方にはお勧めです。
菌とともに暮らす
ゆかりさんは5年ほど前から「発酵ゴト」という発酵料理教室も主催されていて、筆者も数回、参加させていただいたことがあります。
発酵(菌)についての勉強を始められたのは8年前、知れば知るほど菌の不思議な力に気づき、驚かされたそうです。
「菌は目に見えないけれど、身の回りのありとあらゆる場所に存在していて、それぞれが育ちやすい環境に集まってくるんです。
環境が合わなければ変えてもいい。縛られずに、自分が何となくいいんじゃないかなと思う方向に進んでいく発酵の世界がとても好きになれました。」
そう話します。
人間も同じように自由に生きることが大切なのだと思わされます。
「もっくのもり」にあるキッチンスペースで行われる発酵料理教室はすぐに予約が埋まってしまいます。
毎回、手間のかからないレシピを数種類みんなで作っているそうです。
発酵食は栄養素の吸収率をUPし、栄養素を増加させ、保存性を向上させます。
また、菌によって腸内環境が整い、免疫力が向上し、アンチエイジングやデトックス効果も期待できます。
心も身体も喜ぶお料理は私たちに欠かせない存在です。
昔の人の知恵をうまく現代に取り入れ、無理・無駄のない豊かなくらしをこれからも営んでいきたいですね。
★お知らせ
【角俊弥 木と漆のうつわ展】
11月17日(土)~18日(日)
10時~17時
漆や蜜蝋で仕上げた、手彫りの器、カップやお椀、お皿やカトラリーなど
アイヌの人々の文化や先人の知恵に学び、木に寄り添い、自然に環る(めぐる)ものづくりを目指している角さんの個展です。
・両日とも角さんが在廊されます
※発酵ゴトの料理教室についてはInstagramで詳細をご確認ください ⇒ @hakkougoto
soilさんでの取扱作家さん
・うつわ @yamanobe_takashi
・真鍮のお皿など @manyoshi_13
・リネン、布小物など @sowgth