島田川の伏流水とともに歩んできた老舗 光市「河村醤油」
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光市の島田川の河口近くに、創業100年を超える「河村醤油」があります。
1919年の創業以来、島田川の伏流水と瀬戸内の温暖な気候に恵まれたこの土地で、醤油づくりを続けてきました。
原料には、小麦、大豆、麹といった基本の素材を使い、丁寧なものづくりを大切にしています。

「河村醤油」が代々大切にしてきたのは、特別な日のための調味料ではなく、毎日の食卓に自然となじむ醤油であること。
料理の主役になるのではなく、素材の味を引き立て、そっと支える存在でありたい。そんな想いが、100年以上にわたって受け継がれています。
5代目へと受け継がれた想いと、新しい取り組み
現在、蔵を率いているのは5代目の河村光昭さんです。
約2年前に4代目であるお父様からバトンを受け取り、伝統を守りながらも、時代に合わせた新しい挑戦を始めています。

2025年にはロゴをリニューアルし、河村醤油のこれからを感じさせるデザインへと生まれ変わりました。
また、活動の幅を広げる取り組みとして、キッチンカーの導入も行いました。

このキッチンカーの原点は、2015年頃にさかのぼります。
レノファ山口FCがJ2へ昇格したことをきっかけに、試合やイベントの際に屋台で醤油焼きそばを提供していたそうです。
「もっといろいろな場所で、河村醤油の味を知ってもらいたい」という想いから、移動しやすいキッチンカーという形に発展しました。
2025年11月、はつもみぢさんの蔵まつりに出店されていた時の様子
毎日の料理に寄り添う、河村醤油の定番商品
河村醤油を代表する商品のひとつが「豪華しょうゆ」です。
代々受け継がれてきたこの醤油は、煮炊きに使うのはもちろん、料理にそのままかけても素材の味をやさしく引き立ててくれます。
「豪華しょうゆ」(写真:河村醤油提供)実際に煮物を作ってみると、その違いがよくわかります。
出汁を加えなくても、醤油そのものの旨みがしっかりと広がり、満足感のある味わいに仕上がります。
甘すぎず、濃すぎず、塩辛すぎない。
けれど物足りなさはなく、角のとれたやわらかな口当たりが、料理全体をそっとまとめてくれます。

その理由を伺うと、麹の割合を丁寧に調整し、旨みを十分に引き出しているからだといいます。
一本あれば、日々の食卓で自然と出番が増えていく、そんな頼もしさを感じさせてくれる醤油です。
「焼きそば醤油」と「山海焼きのたれ」「焼きそば醤油」は、4代目が子どもの頃に家で食べていた焼きそばの味を再現した一本。
口当たりはあっさり。それでいて、だしのコクと醤油の香ばしさがしっかりと広がります。
いまでは光市や周南市の学校給食にも採用され、地域の味として親しまれる存在になりました。
一方、「山海焼きのたれ」は、キッチンカーで提供される唐揚げの味付けにも使われている人気商品。
甘辛い味わいがあとを引き、子どもから大人まで幅広い世代に支持されています。
焼肉のたれとしてはもちろん、日々のおかず作りにも頼れる一本。食卓の定番として、さまざまな場面で活躍しています。
※webサイトやSNSでもレシピが紹介されています。
発酵の力を活かした、新しい商品づくり
2025年に発売された「ぶちおいしい醤油屋がつくる漬物の素」は、醤油のもろみと、周南市の酒蔵「はつもみぢ」さんとのコラボレーション商品です。
醤油と酒粕、どちらも発酵を生業としているからこそ、お互いの強みを活かした商品を作りたいと考えたことが、開発のきっかけでした。
「ぶちおいしい醤油屋がつくる漬物の素」完成までには半年以上かかり、特に苦労した点を伺うと酒粕ともろみの配合だったそうです。
試作を重ねながら、ようやく納得のいくバランスにたどり着きました。
発酵由来の旨みが重なり合った、やさしく奥行きのある味わいに仕上がっています。
野菜の漬物としてはもちろん、クリームチーズを漬けたり、お肉を漬けて焼いたり、ナッツに絡めておつまみにするなど、さまざまな楽しみ方ができるのも魅力です。
日常に寄り添いながら、次の100年へ
「河村醤油」が目指しているのは、老舗だから特別なのではなく、暮らしの中に自然と溶け込み、日々の食卓で無理なく使い続けられる存在であることです。便利な調味料や出来合いの食品が増え、家で調理をする人が少しずつ減ってきている今だからこそ、醤油そのものの美味しさや、料理に与える力をあらためて伝えていきたいと考えています。
そのための取り組みのひとつが、キッチンカーを通じた人との直接的なつながりです。顔の見える場所で味を届け、会話を交わしながら、醤油の使い方や楽しさを共有することが、次の世代へと受け継いでいく第一歩になると感じています。また、新しい商品づくりにも積極的に挑戦しながらも、長年守り続けてきた味の軸は決してぶらすことなく、大切に守り続けています。

代々受け継がれてきた手仕事と想いを土台に、河村醤油はこれからも地域の食卓に寄り添いながら、時代に合わせたかたちで新しい価値を重ね、次の100年へと歩みを進めていきます。





